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版画工房N組は2012年に兵庫県の但馬地方の小さな村に設立されました。世代の異なる3名のスタッフでユニットを
組んで共同制作をしています。ここは小さな集落とはいえ、周りには50を超える大小の古墳群があります。
自然の美しいこの環境を考え、私たちは廃棄された物を再利用してRe・Recycleをモットーにオルタナティブを志向
した版画工房の活動をしています。合理的になりすぎた今の時代に、もっと物語性にとんだ版画を提供したいと考え
ております。最近は手作り再生紙でブック・アートの制作も始めました。
楽しい版画物語がこの小さな村から発信出来ればと考えています。


今月のN組版画 (2月)





                      《膝折り小僧 Ⅹ》2022
                      N組製手漉き再生紙+楮上にコラグラフ
                      H/22×W/15.5cm  Edition :1/1



 膝折り小僧

 ある下町に 膝折り小僧とよばれる愉快な少年がいた
 少年の目はキラキラと明るく輝き 服装は清潔で動作は機敏
 彼の癖は 人と会うと必ず片膝を折って相手と話すことで
 相手の顔が常に彼の顔より上である姿勢が大切だった
 誰であろうとこの行動で 相手に敬意をもって話すので評判になった
 不満が満ちている下町で この少年の膝折りは明るい話題であった
 謙虚な少年の態度は 世の中に少しの希望をもたらしてくれるだろう


 ©版画工房WERK-STATT N組


今月のN組版画 (1月)




                                        《ドラゴンと遊ぶ Ⅳ》2022
                                        N組製手漉き再生紙+楮上にコラグラフ
                                        H/15.5×W/22cm  Edition :1/1


 ドラゴンと遊ぶ

 宇宙を飛び回るドラゴンが 今年もヒマラヤの小さな村を訪れた
 暗くて寒い宇宙の生活が長いと この高地は快適な休息地だ
 地上に降りたった緑の姿を見かけると 山の住人たちが集まって来る
 子どもや大人が体に触ったり乗ったりして遊ぶと ドラゴンも大喜び
 緑の体に接した人々は 希望の目の輝きが増し 病人の体は回復する
 山頂の白い雪が朝陽を受けて赤く輝くと 体を覆う緑の鱗も光りだす
 低地ではいまだに非情な戦争が行なわれ 町は破壊され犠牲者は増え続ける
 人に希望と力をもたらすドラゴンの早い訪れを この戦地にも待つ人々がいる 


 ©版画工房WERK-STATT N組


今月のN組版画 (12月)




                                         《宙の掃除屋 X》2022
                                         N組製手漉き再生紙+楮上にコラグラフ
                                         H/23×W/31.5cm  Edition :1/1


 宙の掃除屋

 約束も護らない大国のエゴで 宇宙空間はデブリで溢れ大問題が起っている
 人類は宇宙でも平気でゴミのまきちらしを行い 宇宙観測船の飛行すら危険だ
 小国が皆で協力して デブリの掃除屋さん一号機を打ち上げた
 ヤジロベイのような物が機体の一部に付き デブリのキャッチの指示を与える
 小さなデブリはバキュームの穴に自動的に吸い込まれ 大きい物は人力で解体
 機体は集められたデブリを再利用し 新たな部品も製造できる
 飛行中の故障したロケットの修理も可能で 万能の宙の掃除屋だ



 ©版画工房WERK-STATT N組