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版画工房N組は2012年に兵庫県の但馬地方の小さな村に設立されました。世代の異なる3名のスタッフでユニットを
組んで共同制作をしています。ここは小さな集落とはいえ、周りには50を超える大小の古墳群があります。
自然の美しいこの環境を考え、私たちは廃棄された物を再利用してRe・Recycleをモットーにオルタナティブを志向
した版画工房の活動をしています。合理的になりすぎた今の時代に、もっと物語性にとんだ版画を提供したいと考え
ております。最近は手作り再生紙でブック・アートの制作も始めました。
楽しい版画物語がこの小さな村から発信出来ればと考えています。


今月のN組版画 (6月)




                                       《道しるべ VII》2024
                                       N組製手漉き再生紙+楮上にコラグラフ
                                       H/15.5×W/22cm  Edition :1/1
 
 
 道しるべ

 荒涼とした無人の盆地中央に向かって 数本の細い道が通じている
 この平地にあった町は 戦争か自然災害ですべてが破壊され 道のみが残る
 盆地中央部には奇妙な線や記号が描かれた 道しるべの大岩の塊があり 
 人はこの地点で 自分の目的地に方向転換しなければならなかった
 便利だった乗り物はこの時代には全て失われ 人は再び徒歩で行くのみだった
 大岩の大きな穴には一人の男が住みつき 道案内人として生計をたてていた
 道行く人々は この男からあらゆる豊かな情報を得ることができた


 ©版画工房WERK-STATT N組


今月のN組版画 (5月)




                                        《オアシスの発見 Ⅸ》2024
                                         N組製手漉き再生紙+楮上にコラグラフ
                                         H/15.5×W/22cm  Edition :1/1
 
 オアシスの発見

 この砂漠地帯の水不足は 総ての生命体存続に危機的な状況であった
 数々のオアシスの水が枯渇し そこに住む部族たちの生活が脅かされていた
 しかしある小さな動物が広大な砂漠の中に蒸気が立ち上る大きな水の穴を発見
 砂地の穴の周りには すでに少しずつ苔が生え緑の植物すら育っている
 この動物の知らせで あちこちから他の動物達も新たな水場に集まり出した
 偶然にも部族の酋長が動物の不思議な行動に気がつき その後についていった
 その後 人間は動物と争わずに共存しながらオアシスで生き延びる事が出来た


 ©版画工房WERK-STATT N組


今月のN組版画 (4月)




                                         《大地の耳 Ⅲ》2024
                                          N組製手漉き再生紙+楮上にコラグラフ
                                          H/23×W/31.5cm  Edition :1/1
 
  
 大地の耳

 人間の自然環境破壊でこの地方一帯は急速に森林が枯れ 砂漠化が進んでいた
 大地の地下には沢山の空洞があり 人間の耳に似た機能をもっていたが 
 長い間 地上で起こる様々な音を 大地の耳は聞く事が出来なかった
 走り回る動物達の足音 森の植物たちが根から吸い上げる独特な水音
 風の音や雨が地上を打つ音 そして人間が生み出す人工的な雑音の数々……
 最近は人間も今までの間違いに気がつき 自然環境にも配慮するようになり
 岩や大地に緑の苔や植物が蘇り 再び大地の耳は音が聞けるようになった



 ©版画工房WERK-STATT N組