守られる母子
May 31, 2023
小サイズの新作版画ができました。その一部をご紹介いたします。
刷り上がった版画を見て、スタッフ皆が版画の中に母子のイメージを感じとり、
平和の世界を願う「母子の夢」というタイトルが決まりました。ヨーロッパの
美術館で良く見かけるマリアとキリストの母子像の絵画ではないのですが、21
世紀の今の時代でも人の母と子の存在は大切です。地球温暖化で起る巨大台風
や大洪水、大地震、それに再び戦争が起こり、罪の無い多くの母や子どもの命
が失われ、飢餓も増えています。パンデミックすら起っているのです。
こんな非情の時代だからなのでしょうか、私たちの内側から生まれた母子のイ
メージも不思議ではありません。戦国時代に武将たちが被っていた兜に似たク
ワガタムシの角の様な大顎で、敵や災害から守られる母子。もしかしたら、こ
れは母子を助けるクワガタの形をした未来の機械かロボットかもしれません。
3年振りの再会
May 05, 2023
インバウンドの旅行者も増え始めた4月中旬、長岡先生の親しいベルリンの友人
が10日間、わが家に滞在しました。アルメニア拓本プロジェクトやブレーメン
展にも版画工房N組メンバーと同行していますので気心が知れた方です。日本海
方面の安来や松江、出雲を二泊三日で案内した際に途中で鳥取で昼食をし、ギャ
ラリーそらにも寄りました(記念写真)。また別の日には京都へ日帰りで訪れ、
京セラ美術館の春期のコレクション展に展示されている内藤の旧作も観ていただ
きました。女史は三度目の来日ですが、旅を通じて日本の清潔さや公共機関の規
律正しさに感動していました。天気にも恵まれ、新緑の季節に楽しい時間を過ご
すことができました。再会を期し大阪まで見送りました。
N組工房周辺の住人たち 23
April 17, 2023
コンポストとトンビ
畑の隅にコンポストがあり、台所から出る野菜の生ゴミが毎日ここに捨てられる。
自家製の有機肥料ができるので、畑の野菜作りにもとっても便利。手作りの廃材
で創った木製の屋根付きコンポスター。周辺の森の落ち葉や小枝や枯れ草も時々
生ゴミに混ぜ合わせ土も加える。私たちはベジタリアンではないので、魚や肉も
もちろん食べます。魚の内蔵や骨、肉片などの生ゴミの行き場が無いので、いつ
もコンポスターの屋根の上におく事にしている。観察していると生ゴミが置かれ
て5分ともしないうちにトンビかカラスが現れ、あっという間に生ゴミは消え失
せる。鳥たちはどんなセンサーを持ち合わせているのか、まったく驚くほどの素
早さ。私たちは自然界の動物には餌は与えない主義だが、結果的にトンビたちが
食べてくれるのであればそれも良いではないか。木製のコンポスターなので、箱
のどこかにイタチや小動物がかじって穴をあけて入り込む事もあるので、時々修
理もしなければならない。何もしなくても小動物たちは自力で餌を獲得し生きの
びる強い生命力がある。四季を通じて工房周辺の山や森の変化と動物たちの行動
を観察していると、自然界の美しさや不思議さにいつも感動する。
工房の庭に春がきた!
March 30, 2023
徐々に長い冬から解放され、3月25日から工房周辺の桜も咲き始めました。
濃いピンクの桜3本は20年ほど前に精華大の学生たちが植えてくれたものです。
ほかにも庭には様々な方から頂いた思い出の木々が植えられています。2001年
ここに居を構えた頃と比べると庭木も随分成長しワイルドな庭になりました。
現在周辺で咲いている花をご紹介します。
黄色のレンギョ、山茱萸、赤色のヤブツバキ、ピンクの桜、白色のヒメコブシ、
雪柳、水仙、赤紫の木蓮。野にはナズナ、ヒメオドリコソウ、オオイヌノフグリ、
スミレ、ミヤマカタバミ、蕗、山には馬酔木などの香りが満ちています。
他にもここに書きれない小さな野の花々があるでしょうね。
工房周辺も春満開!版画制作も全開です!
N組工房周辺の住人たち 22
March 01, 2023
梅の枝に土の塊を発見
寒くて雪が多い但馬地方の冬も何とか過ぎ、庭の隅にあった最後の残雪も数日前
に消え去った。日の光を受け地面の草の成長が始まり緑色も増して来た。アトリ
エの窓辺もすっかり暖かくなり、明るい日差しが射し込み制作のエンジンもフル
回転。大きな窓ガラスの外に育つ南高梅の枝に丸い土の塊を発見し、秋頃から気
になっていた。近頃は土の塊近くの梅の蕾が膨らみ始め、すでにあちこちには白
い花の開花が始まっている。ネットで調べるとこの丸い土の塊は、ドロバチの巣
であることが分かった。名前のように泥を使って器用に丸い小型の巣を作り、中
に幼虫の餌となる青虫などを運び込みその後に産卵し土で塞ぐそうだ。ドロバチ
の毒で刺された青虫は麻酔をかけられたように生きていて、卵から孵った幼虫が
これを食べ成長するらしい。発見した土の巣には丸い穴が開いているので、すで
に成虫は巣立っているのだろうか?小さな蜂がこのような綺麗な丸い土の巣を作
る才能があるとは驚きだ。周りの枝に付く丸い梅の蕾と調和した姿にパチリと写
真を一枚撮ったのでご紹介いたします。工房周辺には愉快な住人たちが沢山住ん
でいて、私たちも飽きる事が無く、毎日制作に励んでいます。
「紙の畑 内藤絹子展」開催中!!
November 22, 2022
朝来市のあさご芸術の森美術館1階企画展示室に於いて12月4日まで開催中です。
近作を中心に20点の平面作品を展示しております。
展覧会タイトルの「紙の畑」に関しては、あいさつ文より一部抜粋します。
<今回の展覧会タイトル「紙の畑」は、和紙の原料となる楮畑のことではありません。
四季を通じて家の畑で家族が食べる分だけの野菜を育てていますが、土を耕し、種を
蒔き、水やり、収穫する過程は、天候に左右されるので毎年出来不出来がありますが、
育てることで学ぶことが無限にあります。以前から絵を描くことと少し共通点がある
と感じてきました。また日常生活の中での周辺環境の変化が作品にも編み込まれてい
ると感じているので、今回の展覧会タイトルと致しました。>
美術館の周辺は紅葉が深まり、多方面から人々がお越しくださっているようです。
作品は和紙に版画インクで言葉を描いているので、言葉探しや形や色から様々に
連想出来ますので紅葉狩りのついでにお立ち寄り下さい。美術館ショップには版
画工房N組の作品も展示販売しています。
今年の工房周辺の紅葉と収穫
November 22, 2022
11月中旬には薪ストーブに火入れをします。ストーブの焼き芋は楽しみのひとつ
です。畑の柿は豊作だったので、吊るし柿を沢山つくりました。上手くできたら
友人にもお裾分け出来るかな?庭の柚子の黄色い実やドウダンツツジの赤もきれ
いに色付いてきました。京都と姫路で開催される12月恒例の展覧会の出展準備も
佳境となってきました。京都のBOOK ART展に出品予定のN組版画は限定10部
で桐箱に入っています。今までにない力作だと思っております。ご期待を!
BOOK ART展2022の出展準備
October 18, 2022
版画を刷るときには、わたしたちは毎回色見本を作っています。多くあるパーツ
の版の色を決める場合は、言葉ではお互いに伝達しにくいのです。作品のイメー
ジ版の色を確認し合い、共有するためには色見本はとても重要です。
今回は12月に京都の山崎書店で開催されるBOOK ART展2022の出展作品を刷
りました。新作は初めて桐箱に入れた3点セットの折り本作品です。すっかり日
が短くなり、寒くなってくる中で暗くなるまで集中して作業しました。庭の柚子
の実も日ごとに黄色の色が濃くなってきました。
ギャラリートークを開催しました
September 11, 2022
昨日14時より「ARMENIA高地から吹く風」のトークがありました。アルメニア
の十字の石拓本プロジェクトの作業記録写真などをスライドで紹介しました。
会場には地元の方々や京都、但馬、姫路などの遠方からもたくさんの方においで
頂き、とても嬉しかったです。
鳥取のギャラリーそらで今日からN組展
September 08, 2022
JR鳥取駅から徒歩約3分のベストロケーションにあるギャラリーそらでN組展の
展示を終えました。大型の台風11号が通り過ぎた翌日の搬入でラッキーでした。
和田山からは国道9号線で鳥取市内まで片道約2時間の車の道のりです。
今回はBookArt作品の大型シート版の展示を含めた、物語性を生かした展示にな
りました。各作品テキスト付きの展示は初挑戦です。10日(土)14時からはギャラ
リートーク「ARMENIA 高地から吹く風」を開催致します。
10日(土)・11日(日)はN組スタッフも在廊しています。
10回目の紙漉き
August 18, 2022
台風8号の影響で蒸し暑い中、昨日まで5日間、N組恒例の紙漉きをしました。
今回はコロナの影響により、例年より一週間ほど遅いスタートでした。台風の
影響で作業中に雨が降ったので、漉いた紙を乾燥させるのがとても大変でした。
本来は真夏の強い日差しのおかげで、天日干しすると一気に乾きます。天候が
不安定でしたので、最後まで気を抜くことはできません。雨のため漉き終わっ
た紙を外に出せないので、屋根下のデッキに一時避難させ、晴れの日に一斉に
乾燥です。雨の日はN組版画のタイトルを決めたり、サインをしました。N組の
手作りの版画用紙は市販されていない特別な紙です。土台には使用済みのダン
ボールを再利用し、紙の表面部分には今年も丹後二俣和紙さんより頂いた自家
栽培の楮繊維を重ね合わせています。厚みのある強い紙です。漉く前の準備段
階で小さくカットしたダンボールを水に浸した後、重曹を入れ、水を何度も入
れ替えて、pH値を確認しながら中和します。紙のサイズも今年はBookArt用に
新しいスケタを準備し、新たな紙作りも試みました。涼しい早朝6時前から作業
を開始しても、1時間ごとに気温が上がり、ホースの水もお湯状態。強烈な暑さ
に負けないように水分補給をしながらN 組自家製の赤しそ入り梅干し、黒にん
にくを頂きながら乗り切りました。