カマをもった影姿
June 09, 2021
ちょっと可愛いカマを持った帽子姿の影が庭の地面に現れた。先日刈
ったばかりの雑草も、すぐに生えてくる梅雨どきのたくましさ。今回
の主人公はこの頃では懐かしいカマです。N組スタッフのエヌ子は近
頃カマの持つ便利さの魅力にとりつかれて、頻繁にカマを砥石で研ぎ、
畑の雑草を刈る事が多くなった。草刈機では不便な場所には、この手
作業で使うカマがとても便利なのです。矢張り知恵の豊かな農家の人
々は、この道具を使ってさまざまな農作業をしています。実は11月に
植えた玉ネギの収穫期が来ました。天気の良い日に総て地面から抜き
取り畑で天日乾燥させ、夕方にはこのカマを使い上部の緑の部分を切
り取り、玉ネギを紐で結わえ吊るして日陰干し長期間保存するのです。
普通の農家の方々は毎年あたりまえのように行なっているのですが、
N組工房では農業作業はアマチュアですので色々と工夫を重ねており
ます。たくさん収穫された無農薬の赤や白玉ネギは、これからは手作
りのお料理やサラダにとっても便利です。私たちの畑の無農薬の野菜
栽培も版画制作と同じ様に大切で、健康にもとても良く、新鮮な赤タ
マネギを混ぜた自家製野菜サラダは最高です。
N組工房周辺の住人たち 17
June 08, 2021
今年も工房の横を流れる宮内川周辺に蛍の乱舞が始まった。
例年より早めで蛍の数は多くなった気がする。夕食後のデッキから
眺めるこの楽しみは格別で、闇のなかに生まれる光の交響楽。すで
に昨年6月下旬にこのシリーズで蛍の幼虫が食べるカワニナは紹介
しました。夜の蛍の乱舞は私たちが写真に撮るのは難しく、撮影は
プロに任せます。今回は土手に植えたエゴの木の葉にとまった昼間
の源氏ボタルの姿を紹介します。きっと昨夜は乱舞で疲れきってし
まい、昼間は日陰の葉の上でゆっくり休んでいるのかも知れません。
夜の光の動きから想像すると飛行時間が以外と長く、こんな小さな
体が一晩中空中で光を発しながら飛んでいるのですから体力の消耗
もきっと激しいはずです。時々、数匹が工房の庭まで飛んで来て葉
蔭で光りながら一時休憩している姿も見かけられます。
工房の庭で蛍が見れるなんて、とても自慢で嬉しいです。
N組工房周辺の住人たち 16
May 05, 2021
宮内集落にある工房周辺に2羽のコウノトリが飛来しました。それも私たちのビオトープを見下ろせる土手の上ですよ。ビオトープにはドジョウやタニシもいるのでそれが目的かな?それとも旅の途中休憩でよってくれたのかな?私たちはこの集落に長年住んでいますが、コウノトリをここで見かけるのは初めてです。丁度畑に夏野菜のトマトとキウリの苗を植える準備をしている時でした。一輪車で作業道具を運んでいる時に一羽が飛び去る姿を見かけましたが、残りの一羽が土手の上でのんびりとくつろいでいたのです。1枚の写真は宮内集落のはずれにある工房の3階から見渡せる新緑の風景です。農道の左下はビオトープですが、土手の木の後ろに白い点のようにコウノトリの姿も見えます。一枚は片足で休む姿を遠くからズームで撮影出来ました。
足輪のリングは青色でしたが、どこで生まれた個体かは確認出来ませんでした。半時後にはこのコウノトリも北の空に飛び去って行きました。田植が始まった五月連休の午後のちょっとした嬉しい興奮の瞬間でした。
N組工房周辺の住人たち 15
April 26, 2021
はてな!これは何でしょうか?3つ足から5つ足までの不思議な白い動物たち?
牛のような、バッファローのような、どこかアルタミラの洞窟壁面に描かれた動物たちのようにも見えます。
答えは天日乾燥中の薄切りにした竹の子です。私たちの住む村の竹林から掘り出したものです。新緑の時期には美味しい旬の味を楽しみますが、今年は少し乾燥してメンマにして他の料理に使ってみることにしたのです。竹の子から生まれたメンマの小動物たちです。いつもと違うことをすると、思っても見なかった愉快な発見があるのです。ラーメンの中のメンマが動物の姿をしているなんて面白いでしょう?
それを箸につまんでパクッと美味しく食べるのも良いかもね?
N組新作版画の春開き(杉の小話 2021年3月25日)
March 25, 2021
庭のコブシの花や土手の桜が咲き出した。畑の小さな雑草の花
も満開で、タンポポの黄色が特に目立つ。寒くて暗い冬の但馬
地方にも、ようやく明るく色彩豊かな暖かい春がそこまで来て
いる。年末に土手に生えていた杉を台風等で家に被害が及ばな
いうちに伐採することにした。小さな苗から大切に育てあげた
杉だったが、かわいそうだが根元から伐採した。年輪を見ると
15〜6年もあった。せっかくの思い出のある杉だから、庭から
横を流れる小川に行けるように杉材を利用して手作りの階段を
作った。この階段は夏の川遊びにも頻繁に利用できそうだ。
土手の幹を失った沢山の蒼々とした杉の葉を見ながら、エヌの
頭は閃き杉玉を作る事にした。
本来、杉玉は酒屋の入り口に2〜3月に新酒が出来た事を知らせ
るために吊るすのが習慣だが、コロナ禍で長く中断していたN
組の版画制作も3月に再び始まった。新酒の知らせのように、
新作版画が紹介できるように工房の入り口に飾ってみた。酒屋
では酒飲みの気持ちをそそる新酒の香りが漂うが、版画工房に
は印刷インクの香りが漂うだけだ。それでも版画に使われた色
彩が人の目を楽しませてくれるでしょう。
N組工房周辺の住人たち 14
March 16, 2021
今朝も工房の庭でギャーギャーと鳴き叫ぶヒヨドリのつがい。このつがいはもう数年前から、我が物顔でこの庭に住み着いている。2年前には柚子の木に巣作りをして2羽の子どもも育て上げた。庭には食べきれないほどのグミの実や、冬には雪の中で美しい、赤い南天の実もみんな彼等の胃袋に吸い込まれる。
ムラサキシキブの実もあるが、冬はこれだけでは足りないだろう。早春のこの季節庭の実は食べ尽くし、梅の花や次はもっと大きな椿の花から甘い蜜をたっぷり吸うのに忙しい。沢山ある椿の花は大きいのでクチバシを頻繁に花弁の奥まで差し込むので、いつしかクチバシの根元やぼさぼさ顔の羽まで黄色い花粉が一杯で、ちょっと滑稽に見える。ヒヨドリたちはこの庭で日中主な時間を過ごすが、夜はきっと川を挟んだ神社の森で過ごすのだろうか?これから春を迎え、今年もさまざま大小の工房周辺の住人たちが、私たちの前に行列して現れるでしょう。もうすぐ大きな鉢の蓮の植え替えが始まります。
N組工房周辺の住人たち 13
March 05, 2021
工房からそれほど離れていない養父町の旧道で見かけた。バス停の白サギ君。
田舎のバスはなかなかやって来ない。君はもう大分長くそこで待っているけ
ど、バスに乗ってどこに行くの?それとも近頃仲良くなった運転手さんが、
美味しい海の幸でも持って来てくれるのかな?
この頃の田舎の村は老人たちばかりで、バスに乗るのはきまってお年寄り。
それもたまにしか乗らず、バスはいつも空っぽ。子ども達はどこに行ってし
まったのかね?誰もバス停の白サギ君の姿に気がつかない。年寄りたちは目
が悪くなったので、白い何かがいるくらいにしか思っていないのかもね?
バスに白サギが乗っている姿なんて想像すると、とても微笑ましくなってく
るよ。もっと色んな動物が乗って来てくれたらいいのにね。運転手の朗らか
な声が聞こえます。次はイノシシ君の下車です。近くに美味しい竹の子林が
ありますよ、誰も邪魔しないので、お腹一杯に頂いてください。
今日もがら空きのバスは旧道を行く。
一本足のモンスター(工房周辺の雪景色 2021年2月18日夕方)
February 20, 2021
一本足のモンスター
庭の雪景色
昨日までは春のような天気で、暖かな日差しを浴び、皆とデッキで休憩の
お茶を飲んでいたのでしたが。それが一夜にして大雪、再び一面の雪景色
に変わってしまったのです。N組スタッフのエヌが工房周辺の雪景色を撮
影中に奇妙な一本足のモンスターを発見。どうやら雪を被った姿から想像
するに、私たちの工房を護ってくれているようです。東側の土手の上で大
きく白い羽を広げ、近寄る悪者を威嚇するようです。普段は普通の棕櫚の
姿ですが、雪を被ると善玉モンスターの姿に変貌するのです。暗くなりか
けた工房に一本足で雪の中をピョンピョンとやって来て、私たちに挨拶し
たいようです。白い雪は地上の総てを覆い隠すのですが、時には本来の本
当の姿がそこから現れることもあるのです。